貨物車、6年式、サビだらけ、アライメント調整

ふと思い立った。
「……アライメント調整、やっちゃおっかなー。」

割引券もあるしなー。


2003年8月、左前タイヤの針穴パンク(10箇所近いぞ!)がナゼか続発。
それ(の手抜き修理)に伴う低空気圧走行によるショルダー部の異常磨耗。
あとはトヨタで車検の時にもらった割引クーポン1万円分…などなどの条件がそろったため、ついに、タイヤの履き替えを決意。
予定はヨコハマのDNA GP。サイズは前回のGRID-IIと変わらず215/60/16。

で、タイヤを新品にする以上は偏磨耗を起こさないようにしなくてはならない。
加えて、以前より「??」と感じることのあったアシ周りのチェック&調整を決意。

ところで、このアシチェックは車検時のついでに懇意のトヨタに頼んだのだけれども、
「ウチよりも、近場のjmsの方が良いテスター持ってるよ」とのことだったので、jmsへ持ち込む。


さて以前より感じていた症状は、と云うと、
 ・ 摩滅度から考えると、左前タイヤのイン側ショルダーは負荷が多い…ような気がする  →  キャンバー不一致? 特に左キャンバーはネガティブ?
 ・ 左に走っていこうとする挙動が出る…ような気がする  →  おそらくトーの不一致、それに左キャンバーがネガ、の複合要因。
 ・ クルマのキャラを考えれば、もうちょっと直進安定性が良くてもいい…ような気がする  →  トーはアウト気味になってる?
 ・ 右ターンが苦手…なような気がしなくもない  →  キャンバー不適正?

といったところ。
いや、なんで「気がする」で、断定を避けるのかっていうと、新車に乗ったことないから。

ほんじゃあ、サラっと測定してもらいましょうか。


担当の人がテスターの準備をはじめると、周りにいたお客のお兄サンたちが、
「おい見ろよ、アライメントテスターの準備してるぞ? 何が入ってくるんだ?」と興味津々。
他のピットに入ってる車はといえば、FD、各種スカイライン、レガシィ、と『いかにも』な車ばかり。
で、準備が整ったところで外装ボロのブローニイ・バンが入庫。
お兄さんたち、開いた口がふさがらない。悪かったね。


 

現状はこんなカンジだそうです。

で、サラっと測定してもらったところ以下のような状態。

☆ 表の見方 ☆

各項目、上段が実測値、下段中央が基準値、下段左右が許容値。
つまり、左前のトーは、実測値-1.0mm、純正基準値は0.0mmだけれども、
±1.5mmまでは「許容範囲」になる、ってコトです。

※ボン・スペ・ユーカゴ・J80、ブロ・J100は基準値全て同じらしい。

 
前トー
(単位:mm)
-1.0 -0.8
+1.5 0.0 -1.5 +1.5 0.0 -1.5
前キャンバー
(単位:度)
-0.11 +0.12
+0.30 0.00 -0.30 +0.30 0.00 -0.30
キャスター
(単位:度)
+3.56 +3.39
+5.00 +4.00 +3.00 +5.00 +4.00 +3.00
キングピン角度
(単位:度)
+9.24 +8.55
+10.35 +9.50 +9.05 +10.35 +9.50 +9.05
後トー
(単位:mm)
-0.5 +0.6
基準値記載ナシ 基準値記載ナシ
後キャンバー
(単位:度)
-0.22 -0.15
基準値記載ナシ 基準値記載ナシ



ふむふむ。キングピン角度が許容外ですが、これは調整不可能なので仕方ない。
マツダめ。もっと精度よく作れ。

リアがリジッドだけど角度がついてるのは、たぶんプロペラシャフトの回転方向から
負荷がかかりつづけて、ガタが出てるのかな?


さて、これで先ほど挙げた症状はテスターの上でも証明されました。
いい感覚してるなぁ>自分

測定のお兄さんいわく、「調整個所は全部基準値に収まってます…けど…?」と。

その、「…けど…?」が物語るのは、「調整可能部はすべて基準値内だけど、これからさらに詰めていくんですか?」ということなんでしょうな。
加えてその顔には、『しかもこのクルマで???』というのがありありと。悪いか。

……いいんだよ、詰めるんだよ。ちゃんとカネは払うから心配すんな。

というわけで、補正メニューは

  • Fキャンバーを1G荷重(つまりフツーに地面に置いたとき)の状態でゼロ度にしてくれ。

  • トーを、イン0.5mmにしてくれ。

ということで依頼。なに根拠? …えー、ラジコンの感覚。
自慢じゃないが、実車のアライメントなんかイジったことないもん。わはは。



作業開始! っていうかトラブル開始っていうか

で、あとはタダでおかわり自由なコーヒーでも飲んでいると、お兄さんが作業をしてくれる。らくちんらくちん。

この間に、読みかけの「マリア様がみてる」第1巻を読了。
コーヒー2杯目を持ってきて、第2巻「黄薔薇革命」を開いたその時…、ピットから連絡が。

「問題が発生しまして…」と。

−−さて、皆様のご期待通りトラブル発生です(涙)−−


ごめん、この写真は右側だ(^^;。
やっぱり素直にコトは運ばないか、と思ってピットに見に行くと、
ロアアーム、車体側シャフト(左)のナットが固着して緩まない、とのこと。
ピットのお兄さん、1/2インチ角のソケットレンチに1メートル近いパイプをかけて回そうとしたんだが、
「これ以上やると、工具が壊れるか、もしくはクルマ側が折れるか」だそうな。
ちょっと工具かけてやってみたら…、うん、こりゃ確かにアシが負けるわ。
仕方ないので、左をイジるのはあきらめて、右を左の-0.11にあわせてもらうコトにする。

で、待合スペースに戻って数ページ読み進むと、また連絡が。
えーい、全然読書が進まないじゃないか。

何が起こったかってーと、右も緩まない、ということらしい(笑)。
もうこうなったら仕方ない、トーだけ調整してもらうよりないわな。


トー角はとくに問題もなく、一応、無事に終了。

というわけで、無事(?)ピットを出てきた新生ブローニイ、ちなみにお支払いのほうはというと…

・測定料… 4000えん。
・調整料(Fトー)… 7000えん。
ごーけー   11,000えん。

これを安いと見るか高いと見るかはヒトそれぞれですが、どうせここまでカネかけるんなら
やっぱキャンバーも補正したかったなと。



走ってみて、どうよ?

さて、これを読んで、「んじゃあ、いっちょアライメント調整でもやってみっか?」と思った方(が居るかどうか知りませんが)、一番知りたいのは、「で、変わるのか?」かと思います。ではお答えいたしましょう。


トーを、イン0.5mmとしたので、直進安定性は格段に向上したのです。フラットな路面、60km/h以下くらいの速度域なら、手放しでも真っ直ぐ走って行ってくれるのです。
走行抵抗としては体感ではわかりません。だって、元がアウト1ミリ近くなんだから。

ただ、いわゆる「カマボコ路面(まんなかが盛り上がっている)」を走る場合は、山を登ろうとする力が結構かかってくるようです。つまり…

(図1)
こういう状態、すなわち左右両輪が均等にキャンバーに乗っている場合は、なーんにも問題なく走っていきます。
(図2) ←こんなふうに、どちらか(図では右)にズレた場合、かなり「かくっ!」ってなカンジで反対側(図では左)に走ろうとします。


(図3) それはどうしてかって理由を、路面とタイヤの相対って意味から考えてみましょう。

図2を、路面ごと回転させたのが図3です。右タイヤの下の路面がほぼ水平になる状態まで図を回転しました。
こうすると、路面に対して右タイヤは相対的に「左に倒れている」ってのが判りますね。

タイヤ交換でタイヤを物置から持ってこようと転がすとき、タイヤが傾いたまま勢いつけて押すと、タイヤは真っ直ぐ転がらずに、傾きの方向へ曲がっていってしまいますよね。
アレと同じコトがおきているわけです。

もちろん、左タイヤは左タイヤでボディを右に行かせようとしてるんですが、路面との相対角度は右タイヤのほうが大きいのです。よって、右タイヤの「左に行きたい力」が勝って、車は左へ走るのです。

「あれ? でもキャンバーはいじってないんだよね?」と思った方、そのとおりです。
トーアウトになっていた時にも、もちろんこう云う力は働いていたはずなんですが、それでもトーの力で車は外側へ走っていこうとしていたはず。多分、キャンバーの力とトーの力が差し引きゼロくらいになっていたんでしょうね。

ところが、今度はトーまでもが車を内側に引っ張りますから、キャンバー効果(上の図)との相乗効果でもって、こういう挙動が非常に強く感じられることになったと。

ただまあ、逆に言えば路面からのインフォメーションがドライバーに伝わりやすくなったってことでもありますわな。


結論としては、1万1千円の価格分の効果はありますな。特に、アシに疑問を感じている方。
アタシとしては、キャンバーが修正できなかったのが実に残念だ…。




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